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環境(水質)モニタリング技術の開発

 Removal of bacteria from drinking water

名前と所属


古川 清 事業推進者:古川 清(Furukawa Kiyoshi)
生物統合工学専攻 糖鎖生命工学研究室

Profile:
1979年 東京大学大学院理学系研究科博士課程修了
1979年-1985年 ペンシルバニア州立大学医学部、 ペンシルバニア大学生物学教室研究員
1986年 東京大学医科学研究所助手
1994年 東京都老人総合研究所生体情報部門長
2005年 本学生物系教授

研究テーマ

細胞表面の糖鎖の機能解析とその応用
 私達の体を構成する全ての細胞は、その表面をタンパク質や脂質に結合した糖鎖で覆われている。糖鎖はその配列に様々な機能を刻んでおり、これらの糖鎖が正しく作られないと、生まれてくることができなかったり、また生まれてきても病気になることが明らかとなってきた(図1)。これらは全てヒトや実験動物のゲノム遺伝子の構造が判明し、遺伝子操作で異常を作り出すことで、一つ一つ確かめられている。
  一方、生物の進化のプロセスを通して、細胞表面の糖鎖はバクテリアやウイルスの受容体(感染する時の入り口)として利用されている。例えばヒトのインフルエンザウイルスは私達の気道から気管支にかけて発現するα-2,6-結合したシアル酸と結合し、細胞内へ侵入(感染)する。また胃潰瘍や胃癌の原因であるピロリ菌は胃の上皮細胞に発現するルイスB糖鎖と結合するなど、感染症の原因となる多くの外来病原菌は私達の細胞表面の糖鎖と結合する(図2)。従って、こうした細胞表面の糖鎖を利用すれば、感染症を防御することが可能である。私達はタンパク質に結合した糖鎖の働きを明らかにするとともに、こうした糖鎖を感染症の防御に利用できないかを検討している。特にアジアやアフリカの開発途上国では生活汚水から大腸菌が混入し、安全な水道水を確保することが困難で、人々が健康を損ねる原因となっている。大腸菌はマンノースが枝分かれした糖鎖と結合するので、マンノースを固定した濾紙やビーズを担体とした濾過装置を作製すれば、容易に大腸菌を除去することができる。そこで私達は大腸菌と結合するマンノースを含む糖鎖を大量かつ安価に、そして簡便に調製する方法の開発を試みている。

図1:糖鎖の重要性 図2:細胞表面糖鎖の機能