事業推進者:末松 久幸(Suematsu Hisayuki) 極限エネルギー密度工学研究センター |
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1991年 東京工業大学大学院原子核工学専攻博士後期課程修了 |
パルス細線放電法による複合ナノ構造体作製法開発と産業応用
金属細線をパルス大電流により蒸発し、気体中で冷却させるパルス細線放電は、1857年にファラデーによって開発され、超微粒子作製法として最も古い方法である。一方、細線供給の困難さなどによって、これまで忘れられてきた手法であった。本学を含む国内にも、この手法を研究しているグループが存在した。このパルス細線放電のシーズを活用し、これを有機物蒸気/霧や液体中で行うことにより、有機物被覆超微粒子やナノ構造体が作製できることを見いだした。これを利用した量産用超微粒子作製装置を企業と共同で設計、製作し、導電ペースト用有機物被覆卑金属超微粒子や、異方性導電体用貴金属ナノ構造体の作製法開発を行っている。
超高圧下合成法による新超伝導体探索
超高圧を利用した物質合成は、低融点や分解温度の物質を高温短時間で合成できたり、常圧では不安定な物質を安定化させたりすることが可能であり、通常の条件では得られない新物質が合成可能である。この手法を活用し、層状銅酸化物超伝導体の合成と超高酸素分圧下熱処理技法を開発した結果、高価数の銅酸化物合成が可能となった。これを利用し、水分子を層間に保持しても超伝導特性を失わなず、さらに、臨界電流密度特性が向上するBa2Ca2Cu3Oy系超伝導体の合成に成功した。
図1 高繰り返しパルス細線放電装置 |
図2 水分子(白い点)をBa-O面間に内包した |