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気流中の角柱の振動に対する後流物体の干渉効果

名前と所属


川畑佑介 研究アドミニストレータ:川畑 佑介(Kawabata Yusuke)

最終学歴:
職歴:

研究概要

一様流中に弾性支持され,角柱(正方形断面柱)のcross-flow振動(流れに直角方向の振動)については,異なった流速領域でカルマン渦励振(KVIV)と流力弾性振動(FEV)の一種であるギャロッピングが発生します.この二種の振動はその発生機構が大きく異なりますが,ともに極めて広い条件下で発生し,これまでに多くの事故の原因となっています.そのためこれらの振動を抑制する方法を確立することは,工業的にきわめて重要です.  近年,角柱の下流に幅wが角柱の1辺dに等しく,十分に長い帯状の平板を十字交差配置(図1)することによりKVIVとギャロッピングの両者が抑制されると共に,隙間と流速のある条件下においてはカルマン渦とは異なる形態の縦渦による振動(LVIV)が誘起されることが報告されました(図2).これらの現象は,一般に下流物体の干渉効果により,発生機構が異なる渦励振(VIV)と流力弾性振動(FEV)の両者を抑制し得ること,および十字交差系からの縦渦流出とこれによる渦励振を誘起し得ることを示しています. 本研究は,上記の現象に着目して,新たな振動制御−すなわち,有害な振動を抑制するばかりではなく,所期の目的のために振動を誘起する技術−を開発することを目的としています.

図1 十字交差配置

図2 角柱の振動に対する下流平板の干渉効果
(w/d=1.0, ld/d=∞)

これまでの研究成果

下流平板の角柱のVIVとFEVへの影響を,下流平板幅w/d,下流平板長さld/d,隙間比s/dの広い条件にわたって風洞実験によって調べました.その結果,KVIVとギャロッピングの抑制,および,LVIVの誘導に対する下流平板の幾何学的条件を明らかにしました.また,条件によっては,カルマン渦励振が強化される現象(EKVIV)や,下流平板の干渉効果による流力弾性振動(WBIFEV)が発生することが分かりました.

今後の展望

これらの振動の抑制,および誘起される振動の原因の解明と,エネルギー法による振動の予測方法の確立を行います.また,上記の実験結果に基づいて,振動物体に付属物を取り付ける制振技術としてT型フィンを提案し,振動抑制,振動誘起効果を調べます.