教育研究高度化支援員:児玉茂昭(Kodama Shigeaki) E-mail: Kodamas@kjs.nagaokaut.ac.jp |
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研究履歴概要: |
1995年に京都大学大学院文学研究科に修士として入学した。大学院では言語学を専攻した。とくに興味を持ったのは印欧語比較言語学で、現存する言語形式から、より古い、すでに存在していない形式を再建する手続きの論理性に感銘を受けた。博士論文のタイトルは、「ギリシア語s-語幹中性名詞の歴史的研究」で、古典ギリシア語に存在したある特徴を持つ一群の名詞について、その歴史的な発達過程を明らかにすることを試みた。
2002年に東京外国語大学アジアアフリカ言語文化研究所に研究員として赴任し、GICASプロジェクトに参加して、多言語・多目的の電子辞書を作成するための基礎的研究や、アジア言語の言語処理技術に関する研究を行った。
2006年に長岡技術科学大学に研究員として赴任し、LOPプロジェクトに参加して、言語判定アルゴリズムの改良や、インターネット上における言語の分布状況についての調査に従事した。
2009年10月からは、「グローバル融合工学の構築を目指した教育研究の高度化推進」において教育研究高度化支援員として勤務している。このプログラムにおける研究テーマについては、以下で述べる。
本プログラムにおいては、以下のような研究テーマについての研究を進める予定である。
1.Plain Japaneseを利用した工学教育テクストの書き換え
2.複数の言語の工学語彙に存在する同源語を自動的に発見するためのアルゴリズムの開発
第一の研究テーマの最終的な目標は、Plain Japanese を用いて工学教育の改善を図ることである。
Plain Japaneseは、日本語に不慣れな留学生にも容易に日本語テクストが理解できるように設計された日本語である。多くの留学生は日本語で書かれた工学教科書の理解に困難を感じており、そのために教科書の内容が十分に理解できていない。Plain Japaneseへの変換を行うことで、留学生はより容易に教科書の内容を理解することができるようになる。
まず、Plain Japaneseがどのようなものであるのかを定義しなければならない。この定義には、少なくとも語彙と、構文が含まれている必要がある。定義を行った後には、自然言語処理技術を用いて自動的に変換を行うシステムを開発する予定である。
本研究テーマは、言語学、中でもとりわけ日本語学と自然言語処理技術の二つの分野の両者の支援を必要とする融合的な研究である。
さまざまな言語に存在する同源語を自動的に検出するアルゴリズムを開発するのが第二の研究テーマである。
すでにsoundex法と Lebenstein距離という二つのやや古い手法を用いた検出アルゴリズムは開発しているが、言語学などを応用することによって、アルゴリズムの改良を行う予定である。
このアルゴリズムを用いることで、大量のテクストの中から容易に同源語を発見することが可能になる。また、アルゴリズム自体を他の分野へと応用していきたいと考えている。