藤原 信吾(Fujihara Shingo) | |
最終学歴: 研究業績: |
ホットスポット現象とは
酸化物高温超伝導体として知られているGdBa2Cu3O7-δ(Gd-123)セラミックスの線材に,室温において,ある値以上の電圧を印加すると,図1に示すように線材の一部分のみが赤熱し,約900℃の高温になることを我々の研究グループが発見した。この現象を我々はホットスポット現象と名づけ、その物性,デバイス開発に関する研究を進めている。
低温環境域で適用可能な廃水処理システムの開発
ホットスポット発生後に線材を流れる電流は、周囲の酸素分圧の増加に伴い増加する。このことから、この線材は酸素センサとしての応用が期待できる。しかしながら、図2(a)に示すGd-123単相線材は高酸素分圧下ではホットスポット部分で線材が溶断し易くなるという耐久性の問題があった。これに対して、私の所属する研究室では高融点材料であるGd2BaCuO5 (Gd-211)をGd-123中に分散させることにより、線材の溶断を抑制することに成功した(図2(b))。本研究では新たなセンサ構造としてGd-211の芯を有するGd-123線材を作製し(図2(c))、ホットスポット現象を利用した酸素センサの特性を評価した。
ディップコート法を用いてGd-211線材にGd-123をコーティング後、空気中、950℃にて10時間焼成した。周囲の雰囲気を空気からN2/O2混合ガスに変化させ、ホットスポットが発生している試料に流れる電流の経時変化を測定することにより、センサの特性を評価した。
図3に雰囲気の酸素分圧と90%応答時間の関係を示す。Gd-211の芯を有するGd-123線材はGd-123単相線材、Gd-211を分散させたGd-123線材と比較して低酸素分圧下では応答時間が短いことが分かった。Gd-211の芯を有するGd-123線材は他の試料と比較して、ホットスポットが発生するGd-123部分が薄いことから、酸素や酸化物イオンの拡散距離が短いためと考えられる。
図1 ホットスポット現象 |