TA・RA

温暖な地域の積雪のモデル化に関する研究

名前と所属


高橋優信 勝島隆史(Katsushima Takafumi)
エネルギー・環境工学専攻

研究テーマ

雪崩の発生予測には、積雪層構造を詳細に把握する事が重要である。山岳地での人力による観測は非常に困難であるため、積雪の状態を数値計算によって再現し、観測結果を補足する必要がある。一方、比較的に温暖な地域では、真冬においても多量の降雨や融雪が発生する。これに伴い発生した水が積雪中に浸透し、水が到達した積雪層では雪粒子が肥大化することで構造が変化し、積雪層の硬度や密度が変化する。そのため、水の浸透をも考慮して積雪の状態を計算する必要があるが、浸透の物理過程について良く分かっておらず、水の浸透を、計算によって正確に再現できない。ゆえに、温暖な地域の積雪を計算によって再現するには、積雪中の水の浸透の物理過程を理解・把握することが不可欠である。
現在、積雪中の水の浸透に関する実験を行い、浸透理論の確立を図っている。また、得られた結果を用いて、水の浸透のモデル化を行っている。さらに、そのモデルを用いて積雪の状態を計算するモデル(積雪モデル)の高度化を試みている。

研究内容

水の浸透の物理過程の把握
 積雪中を水が浸透する際、水がある部分を集中的に流れる “水みち”による浸透が多くの場合に卓越する。水みちが形成された場合には、水は複雑な経路をたどり下方へと浸透する。この水みちを低温室内において再現する実験を行っている。この水みちが形成される際の条件や、形成過程について実験結果を整理し、その形成理論の理解・把握を行っている。また、浸透を計算する上で必要な、水の透水性や保持性の雪質ごとの違いを把握するための実験も、あわせて行っている。

積雪の変化を再現・予測する数値計算モデルの開発
 ある地点での詳細な気象観測データから、その地点での積雪の変化を再現する積雪モデル、および、気象庁が観測したAMeDASデータや気象レーダデータを入力値とした、広域にわたる積雪を再現する積雪モデルを、これまでに開発した。
実験により得られた水みちの形成理論を用いて、水みちの形成を再現する数値計算モデルを開発し、このモデルを積雪モデルに取り入れることによって、積雪モデルの高度化を図っている。

 

実験室で再現された雪試料中の“水みち“水は積雪中を複雑に浸透する。

計算により再現された積雪層構造と、積雪深の分布。
広域の積雪を計算により再現可能になりつつある。